モーターは動作すると
音がでます。
その音でも正常な音と
異常音があります。
モーターを長期間使うと
新品時とは明らかに違う
異常な音が鳴り始めます。
異常音にも色々ありますが
中には、聞くに耐えない
けたたましい音が出ることも
あります。
このページでは、モーターから異常音が
鳴り始めたときに
疑うべき原因について
7項目書きました。
このページでは、
産業用モーターである
三相誘導電動機(三相モーター)や
単相誘導電動機(単相モーター)を
イメージして書いています。
三相誘導電動機や単相誘導電動機を
想定してのことですが
その他のモーターでも考えられる
ことです。
三相誘導電動機(三相モーター)が何か
分からない場合は、以下のサイトで
解説していますので、ご参考ください。
⇒三相誘導電動機(三相モーター)とは?やさしく概要から理解しよう
単相誘導電動機(単相モーター)が何か
分からない場合は、以下のサイトで
解説していますので、ご参考ください。
⇒単相誘導電動機(単相モーター)について
1.ベアリングの摩耗
モーターの異常音発生原因として
モーターの軸受である
ベアリングの摩耗があります。
上左写真がベアリングで
上右写真が回転子(ローター)に
ベアリングを嵌めた画像です。
あなたが、まったくの
初心者ならまずは以下のサイトを
見てください。
当方の別サイトですが、
ベアリング、ベアリングの故障に
ついて説明していますので。
ベアリングにも色々種類は
ありますが、ここでは
ボールベアリングについて
書きます。
上記サイトでも書いていますが
外輪と内輪の間に
転動体と保持器が入り、
玉である転動体が回転することで
ベアリングの内輪は回転します。
下写真も参考ください。
摩耗を防ぎ回転を
スムーズにするために
下写真のように転動体には
グリスを塗っています。
しかし、グリスもいずれは
乾燥したり、流れ出たりして
なくなります。
そのまま長期間使うことで
摩耗が進行し、回転させた時に
異常音が発生するように
なります。
摩耗がひどくなると
下写真のように
玉がさばけます。
このような状態なる
前後では軸を手で回しただけでも
異常音はします。
手で回すだけでも鳴るので
運転で高速回転させると
余計に大きな音がするわけですね。
ベアリング自体の故障は
モーターの故障の中でも
多くの比率を占めます。
モーターの異常音でも
ほとんどが、このベアリングの
摩耗、故障によるものです。
高速回転する軸受に
使われるベアリングは
特に故障確率は高くなります。
ですので、故障を防ぐために
モーターを別件で分解した時でも
ベアリングは
メンテナンスとして
交換しています。
2.軸(回転子)がブレる
上写真は回転子(ローター)です。
この回転子がブレて回転することで
異常な音が発生します。
回転子は下写真の固定子(ステータ)に
下写真のように、入っています。
上写真の状態だと
固定子と回転子は接触して
います。
これだと回転できないので
下写真のような
ブラケットと軸受(ベアリング)に
回転子を組んで
少し隙間を空けて回転できるように
するのです。
固定子と回転子の隙間
(エアギャップといいます)
はわずかです。
ですので、ベアリングの故障等
回転子を固定する構成が摩耗
して、回転子がまっすぐに
回転できなくなると
回転子と固定子(ステーター)が
接触して異常音がするわけです。
この状態になる前に
モーターを運転している方が
例えばベアリングの
異常音に気が付くことが
多いので
経験上、発生頻度は
少ないです。
3.キー溝の摩耗
モーターは
軸に歯車やプーリーなどを
嵌めて受動側を動作させます。
軸に嵌めるとき、
キーをキー溝に打ち込んで
軸と歯車等をしかっりと固定をします。
下写真がキーとキー溝、
そしてキーをキー溝に
嵌めこんだ写真です。
このとき、
わずかながらでも隙間が
あって回転させると
微妙でも動いたり、
モーターを頻繁に
正回転、逆回転の切り替えを
繰り返す用途の場合
長期間使うことで
だんだんはめ込み(固定)が
甘くなっていき
キー溝が摩耗し広がる
そこが原因で
異音が発生します。
4.固定したボルトが緩む
モーターはボルトなどで
台座に固定して動作させます。
このボルトがわずかでも
緩むとモーターも回転時に
動き異常音がすることがあります。
モーターの
設置時にしっかりと固定すれば
問題ないですが、長期間使うと
緩むことが実際にあります。
モーターはしっかりと
固定されていて
問題ないはずだ。
先入観を持つことで
原因究明が遅れても
いけません。
滅多にないことだと
思いましたが
私自身の経験上
加えました。
5.受動側の摩耗
これは、モーター本体ではなく
受動側なのでモーター外部ですが
モーターに絡むことなので
加えました。
例えば、歯車なら
歯が摩耗して細くなり
歯がかみ合うときの音が
多くなります。
歯の1つが折れたりすると
けたたましい音がします。
プーリーの場合は
Vベルトの劣化や
Vベルトの張りの緩みなどでも
異音はします。
機械に設置したモーターは
受動側と組立られていますので
異常音がするときは
疑う必要はあります。
6.単相状態
三相誘導電動機の場合、
1相が欠相して三相ではなく
単相電源が印可されると
モーターは回転せず、
うなるような異常音がします。
このパターンは、回転しないので
異常音から原因を探すよりも
回転しないことから
原因を探すとも思いますが
異常音なので
加えておきました。
単相は下写真のような
カバースイッチ内の
ヒューズが1つ溶断して
起こることもあります。
カバースイッチについては
以下のページで説明していますので
ご参考ください。
あとは
電磁接触器の主接点の1つが
故障していることもありますね。
電磁接触器については
以下のページで説明していますので
ご参考ください。
7.ブレーキが開放されていない
ブレーキ付きモーターでは
ブレーキが効いたまま
(開放されていない)
回転するとき異常音はします。
ブレーキが効いていたら
モーターは回転しないのでは、と
思われるかもしれませんが
ブレーキの制動力が甘い場合は
ブレーキが効いたままでも
回転します。
正常時との音の違いが分かりにくい
こともありますが
普段使用しているオペレーターは
違いに気が付きます。
音だけではなく
普段より動きが悪いことで
気が付くこともあります。
ちなみに、ブレーキが
効いたまま動作させ続けると
過電流が流れ続け
モーターのコイルが焼損します。
当方の別サイトですが、
固定子コイルの焼損に
ついて説明していますので
以下をご参考ください。
8.まとめ
色々と疑うポイントを
書きましたがモーターの異音で
最も多くの比率を占めるのは
ベアリングの故障です。
モーターのメンテナンス員では
ない、専門家ではない
オペレーターでも一番最初に
ベアリングを疑います。
それぐらい、頻度が多いと
いうことです。
あなたの使うモーターで
いつもの音が違うと感じたとき
このページが何かしらの役に
立てたら幸いです。
最後にモーターの故障や
モーターの基本について
説明したページを
紹介しておきますのでご参考ください。
別ページでは
モーターが回転しないときに
疑うポイントについて
書いています。
モーターの基本講座のページ一覧や
動画を使う無料メール講座も
あります。
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