このページでは空気圧制御で
使うスピコン(スピードコントローラー)
について解説しています。
空気圧関連のサイトではない
当サイトで扱う理由は
シーケンス制御は電気制御ですが
空気圧も絡むことが
よくあるからです。
ですので、故障調査・解析時に
概要ぐらいは理解していないと
調査を進めにくいことも
あります。
あなたが
電気エンジニアでも
知っていて役には立ちますので
読んでみてください。
目次(クリックすると自動で飛びます)
1.スピコンとは
2.スピコンの構造と内部の動き
3.2種のスピコン
4.スロットルバルブとニードルバルブとは
5.スピコンの使い方、回す方向
6.メタリングバルブとは
7.スピコンのメーカー
8.注意
9.まとめ
1.スピコンとは
上写真がスピコンです
スピコンは流量制御弁、
速度制御弁の中の1つです。
意味はその名前のとおり
空気の流れる断面積を小さくして
流れる量を制限して
シリンダー等の負荷の動作速度を
調整する弁ということです。
スピコンは
スピードコントローラーの名前で
販売しているメーカーも
あります。
空気圧が分かる方の中では
スピコンという呼び名で通じますし
そのように呼ばれることが多いです。
スピコンはシリンダーや
電磁弁に取り付けて使います。
電磁弁は方向制御弁の1つで
圧縮空気の出入(方向)を切り替える
機器です。
電磁弁はを圧縮空気を
シリンダーに入れたり、出したり
するスイッチのような役割を
します。
電磁弁やシリンダーについては
以下のページを参考ください。
上図はシリンダーの
概略図です。
シリンダーは配管接続口から
圧縮空気を出入させることで
ピストンを出入させます。
電磁弁はその出入の方向を
切り替えるために使われます。
スピコンは、シリンダーの
圧縮空気が出入する配管接続口に
取付けられます。
圧縮空気の出入口で
その流量を制御することで
速度を制御するのです。
2.スピコンの構造と内部の動き
上図がスピコンの構造図例です。
スピコンの主メーカーの1つ
PISCOのデータシートから抜粋しました。
図中の赤矢印のニードルを
回すことで流量を調整し
青矢印が圧縮空気の
出入口になります。
そして、下の図が
スピコンの記号です。
スピコンは圧縮空気を
両方向流すことはできますが
下図のように
流量を制御(調整)できる方向と
制御できない自由に流れる方向が
あります。
2つの機能(機構)に分けて考えます。
1つは逆止め弁(チェック弁)です。
下図に示すように
ポペット(ボール)とバルブシートに
分けて考えます。
←の流れの時はポペットが
バルブシートにあたり流れません。
→の流れの時は圧縮空気の力で
隙間ができ自由に流れます。
逆止め弁では
1方向は流れず他方は自由に流れます。
もう一つは可変絞り弁です。
記号の形状からも絞っている
感じがしませんか?
圧縮空気が流れる断面積を
小さくして流量を少なくします。
記号では2つの機能(機構)が
並列に並びますので
1方向は流量を制御する、
他方は自由に流れるということに
なります。
3.2種のスピコン
スピコンを使う
シリンダー制御には
メータイン方式と
メータアウト方式があります。
スピコンには
メータイン用とメータアウト用があり
使い分ける必要があります。
メータイン方式とメータアウト方式に
ついては以下のページを
参考ください。
4.スロットルバルブとニードルバルブとは
スピコンと似たものをして
スロットルバルブがあります
下写真のように形状も似ています。
スピコンとの違いですが、
スピコンは、1方向だけ
流量を制御しますが
スロットルバルブは両方向で
流量を制御します。
スロットルバルブは
そのことから絞り弁と
呼ばれることもあります
また、スロットルバルブは
メーカーや資料によっては
ニードルバルブと呼ばれることも
あります。
ニードルバルブで検索すると
写真のようなものであり、
スロットルバルブとは
形状がまるで違いますね。
役割が同じで絞り弁なので
そのように呼ぶことも
あるのだと思います。
5.スピコンの使い方、回す方向
前述の構造図を見て下さい。
スピコンはロックナットを
緩め、ニードルを回して
流量調整します。
回す方向ですが
反時計回りで速度が速くなり、
時計回りで速度が遅くなります。
回転させた後は動かないように
ロックナットを締めます。
6.メタリングバルブとは
スピコンの1種として
メタリングバルブがあります。
写真はメーカーの1つである
CKDのサイレンサ付き
メタリングバルブです。
メタリングバルブは
電磁弁の排気口に取り付けます。
排気量を制御するのです。
JISでは電磁弁に取り付ける
スピコンをメタリングバルブと
呼んでいます。
ちなみにサイレンサとは
消音器のことで
排気時の音を小さくできます。
7.スピコンのメーカー
スピコンは、空気圧機器を扱う
メーカーなら製造しているとは
思います。
私がよく見る、よく使うメーカーは
PISCO,CKD,SMCですね。
8.注意
スピコンやスロットルバルブは
流路(空気が流れる断面積)を
狭くすることで、
流量を制御する部品であって
圧力を制御する部品ではありません。
圧力を制御したい場合は
レギュレータを使います。
レギュレータで圧力を下げれば
圧縮空気の量も下がるので
速度調整に使えそうなものですが
圧力自体が下がっているので
シリンダーなどの負荷の力も
下がるので知ったうえで
行っています。
また、
スピコンやスロットルバルブは
圧縮空気の流れを完全に
遮断するための部品ではありません。
締めてもわずかに
漏れることはあります。
ハンドバルブなど
それ専用の部品を使いましょう。
9.まとめ
このページでは
スピコンの概要と
スピコンと類似する部品と
その違いを説明しました。
空気圧制御の自動機械も
電気が絡むことがほとんどです。
圧縮空気の方向を制御する
電磁弁は電気で
動作させるからです。
当方では電気制御に関係する
初心者向のシーケンス制御の教材も
扱っていますので
興味があれば
以下の画像をクリックして
ご確認ください。
●リレーシーケンス教材に
ついては以下の画像をクリック
●シーケンサ教材に
ついては以下の画像をクリック