このページは、
シーケンス制御などの電気回路に
使われることがあるセレクタスイッチに
ついて説明しています。
下写真がセレクタスイッチです。
(シーケンス制御については
以下のページを参考ください。
→3ステップで理解するシーケンス制御とは)
セレクタスイッチはどういった
スイッチなのか、他のスイッチとは
どう違うかなどを説明しています。
目次(クリックすると自動で飛びます)
1.セレクタスイッチとは
2.ノッチとは、2ノッチ、3ノッチ・・・
3.選定方法と色々な形状
4.カムスイッチとの違い
5.用途、使い方
6.電気図記号
7.最後に
1.セレクタスイッチとは
そこには多くのボタンやランプが
取付けられていますが
セレクタスイッチも取付けられる
ことが多いです。
スイッチと聞いて思いつくものとして、
普通の押ボタンがあります。
押ボタンには固定接点、可動接点があり、
押すことで、接点が接触、非接触し
開路(導通)や閉路(非導通)になります。
(押ボタンについては
以下のページを参考ください。
→シーケンス制御でよく使う電気制御機器について)
セレクタスイッチも押ボタン同様に
内部の接点が動作しa接点、b接点が
開路、閉路になるのですが
押すのではなくひねって動作させます。
上写真のツマミをひねって
切り替えます。
押ボタンにはもモメンタリ型と
オルタネイト型があります。
モメンタリ型はボタンを押した時だけ
接点が動作する、
オルタネイト型はボタンを押して
離しても接点の動作状態を保持します。
セレクタスイッチも同様に
ツマミをひねって離すとバネで
自動的に戻るタイプ
ツマミを離しても、その状態を
保持するタイプがあります。
元に戻すにはツマミを再度
ひねって戻します。
個人的には、この保持するタイプを
使うことが多いですし、
他社が使っているのを見ることが
多いです。
2.ノッチとは、2ノッチ、3ノッチ・・・
セレクタスイッチに関わると
ノッチというキーワードを
見聞きすることがあります。
ノッチとは切り替えができる数、
切替によってつくれる状態の
数のことです。
セレクタスイッチは
下写真のように ツマミが2位置に
切り替えれるタイプ(2ノッチ)
以外に
下写真のようにツマミを3位置に
切り替えられるタイプ(3ノッチ)や
4位置に切り替えられる4ノッチなどが
あります。
当然、切り替える毎に
接点の状態も切り替わります。
この2ノッチのセレクタスイッチは
a接点1つ、b接点1つの1a1b品です。
切替によって以下のようになります。
この3ノッチのセレクタスイッチは
a接点1つ、b接点1つの1a1b品です。
切替によって以下のようになります。
このようにノッチ数だけ
接点状態を作れます。
この接点状態を色々ありますよね。
1a1b品の2ノッチを前述しましたが
2a品の場合、切替で以下のパターンが
つくれます。
2aを2bにも1aにもすることは
できます。
色々な組み合わせがあるし
つくれますね。
次の項では選定方法に
ついて書いていきます。
3.選定方法と色々な形状
何ノッチで切替によって
どういった状態にしたいか
その仕様にあった製品を
カタログで選定します。
上の表はセレクタスイッチの
メーカーのIDEC(和泉電気)の
カタログの1部を抜粋したものです。
これは3ノッチのセレクタスイッチです。
ノッチ位置の枠で黒塗られている意味は
その接点が導通しているということです。
赤枠で囲んだ2a2b品では
ノッチ(ツマミ)位置が1だと
取付位置①のa接点と④のb接点が
導通していることになります。
このカタログのように
ノッチ(ツマミ)がこの位置だと
何の接点が導通している/していない
を見ます。
緑枠はツマミを回したとき
その位置を保持するか、
自動復帰(リターン)するかを
選ぶようになっています。
3ノッチなので右だけ、左だけ
自動復帰する仕様もありますね。
こういったカタログを見て
自分が欲しい仕様の
セレクタスイッチの型名を
注文します。
あとは下写真のように
ツマミにも色々あります。
4.カムスイッチとの違い
セレクタスイッチと似ており
ツマミやレバーで接点状態を
切り替えるスイッチとして
カムスイッチがあります。
正直、実務をしていて
その定義の違いを意識したこと
ありません。
上写真はIDECのカムスイッチです。
写真から分かるように
カムスイッチはセレクタスイッチと
比較して、構造は堅牢で
ノッチ数も多いです。
ノッチ数が10という機種もあります。
そうなると接点状態の組み合わせも
多彩になります。
標準品ではなく、自分で仕様を
指定してカスタムオーダーメイドで
発注することがほとんどです。
カムスイッチは、複雑な動作を
する工作機械の操作盤に
使われているのをよく見ます。
複雑なので操作する動作状態も
多くあります。
それをノッチ数が多い
カムスイッチを使って
手元の操作盤で切り替えて
機械を動作させるのです。
古い機械でカムスイッチが
故障したときは大変です。
古いので同じカムスイッチは
販売されていませんし、
型名から履歴を追うことも
難しいです。
テスターで各ノッチでの
接点状態を全て調べて
カスタムで注文しています。
1つでも間違えたら違う製品に
なるので気を使う作業ですね。
5.用途、使い方
セレクタスイッチは
動作の切り替えで使うことが多いです。
入/切やPLC(シーケンサ)を使って
自動運転する機械なら
自動/手動、自動/切/手動とか
をセレクタスイッチで切り替えます。
(PLCについては
以下のページを参考ください。
→PLCとは、シーケンサとは何?)
他にも微速/定速/高速を切り替えるとか
動作を切り替える場面で使います。
入/切だけなら押ボタン
良さそなものですが
切替ならセレクタスイッチを使います。
下写真のように
一般的には銘板をつけます。
セレクタスイッチのツマミを
見れば、今の状態を
知ることができます。
6.電気図記号
セレクタスイッチを
シーケンス図のような電気回路図に
記述するときの電気図記号を
紹介しておきます。
(シーケンス図については
以下のページを参考ください。
→シーケンス図とは)
下図が 2ノッチ、3ノッチの
電気図記号です。
この図ですが、例えば2ノッチについては
1aと1a1bなので2aでは使えません。
あと、作成する電気回路図の形によっては
そのまま使えませんよね。。。。
そういった時は、基本をくずさず
自分で作ります。
上図の左はひねり操作、
右は連結を示します。
それらを踏まえて2ノッチ2aでは
以下の図を書きました。
他社さんの電気回路図を見ても
基本ルールをくずさず書くとか、
意味が分かるような記号にして
書かれていますね。
7.最後に
機械の動作状態を切替る時は
押ボタンではなく
セレクタスイッチを使いましょう。
配線接続は特別なことはなく
押ボタンと同様にすればいいです。
ノッチやカタログの見方など
慣れない部分はあると思いますが
頻出する重要部品ですので
ぜひ、使えるようになってください。