自己保持回路はリレー回路、
シーケンス制御において超重要な回路です。
特に自動制御をする場合、
自己保持回路なしには回路設計は
できません。
重要ですが
決して考え方や方法は難しくないので
ぜひ、覚えてください。
リレー回路について分からない場合は
以下のサイトをご参考ください。
⇒リレー回路、制御とは何かを理解し次のステップへ向かうためのサイト
シーケンス制御について分からない場合は
以下のサイトをご参考ください。
⇒シーケンス制御とは
目次(クリックすると自動で飛びます)
1.自己保持回路とは
2.保持状態の解除
3.シーケンス図、ラダー図で書く/a>
4.なぜ自己保持回路を使うのか
5.使用例
6.配線方法
7.最後に
1.自己保持回路とは
自己保持回路とは何か
について順を追って説明していきます。
説明を理解していくには、
電磁リレーに関する知識が必要です。
あなたが電磁リレーについて知らない
場合は以下のサイトで解説していますので
ご参照ください。
電磁リレーを動作させる
上のイラストは青枠の中は
電磁リレーの内部だと考えてください。
電磁リレーの内部にはコイルと
a接点があります。
上のイラストのように、電源スイッチを
入れて電磁リレーのコイルに使用電圧を
印可すると励磁され磁力を持ちます。
それに連動して接点が動作します。
そして、電源スイッチを離す(OFF)と
コイルへの電圧印可はなくなり
接点は元に戻ります。
自己保持回路の動作説明
自己保持回路は回路を工夫することで
コイルに使用電圧を印可するスイッチを
OFFにしてもリレーが動作し続ける回路です。
このイラストを見て下さい。
今度はリレーの接点を電源スイッチと
並列に接続しています。
この状態で、電源スイッチを入れます。
すると、上の左イラストのように電源スイッチを
通してコイルに電流が流れリレーが動作
します。
そして、上の右のイラストようにリレーの接点は閉じます。
すると上の左イラストようにリレーの接点からも
コイルへ電流が流れます。
ですので、コイルへ2経路から
電流が流れることになります。
この状態で電源スイッチをOFFにします。
先程ならリレーは停止するところですが
リレーの接点からコイルへ電流が流れ
続けているので動作状態を保持します。
このように、自分の接点で動作状態を
保持する回路ということで
この回路を自己保持回路といいます。
電磁接触器の自己保持回路
電磁リレーを使って
自己保持回路の動作説明をしましたが
電磁接触器でも自己保持回路は
よく使います。
電磁接触器も電磁リレー同様に
コイル励磁で動作し、接点を
もっています。
(電磁接触器については
以下のページを参考ください
→電磁接触器とは、電磁開閉器とは何か)
2.保持状態の解除
自己保持回路では保持状態を
解除するため、下のイラストのように
コイルへの電気を遮断できる位置に
b接点のスイッチを入れます。
*b接点は、通常は閉じて導通しているが
動作させると開いて非導通になる接点です。
b接点について知りたい場合は以下の
サイトで説明していますので参照ください。
上イラストのように
b接点のスイッチを動作させることで
電源からコイルまでの経路(電路)を遮断する
ことができますので、リレーは停止します。
スイッチに限らずセンサーなどのb接点も
使うことはあります。
3.シーケンス図、ラダー図で書く
ここまで自己保持回路をイラストで
示してきました。
あのような図を実体配線図といいます。
実際の機械の電気回路図は
実体配線図よりもシーケンス図で
書かれることが多いです。
(シーケンス図については⇒シーケンス図とは)
自己保持回路をシーケンス図で
書くとこうなります。
仕事で自己保持回路に関わるなら
シーケンス図での書き方ぐらいは
覚えておく必要はあるでしょう。
また、自己保持回路はPLC(シーケンサ)の
プログラムの記述方式のラダー図でも
使われます。
(PLC(シーケンサ)については⇒
PLCとは、シーケンサとは何?が83%解消する初心者サイト)
(ラダー図については⇒ラダー図とは)
ラダー図での自己保持回路は
これになります。
自己保持回路は重要回路ですので
リレー回路でもシーケンサの
プログラムでもよく使われます。
4.なぜ自己保持回路を使うのか
自己保持回路はリレーを動作させる信号
(スイッチ/接点)がOFFしてもリレーを動作
させ続ける回路です。
ということは
「リレーを動作させるスイッチ(接点)を
ONし続ければ必要ないんじゃいの?」
と思うかもしれません。
しかし、
それでは自動制御が実現できません。
確かに押ボタンにはオルタネイトタイプと
いって押して離しても動作状態を保持し、
もう1回押して元に戻すタイプもあります。
でも、それだとリレーのコイルの電路に
b接点を入れて自己保持を解除しても
押ボタンは動作した状態には変わりありません。
ですので、解除のためのb接点も
動作させ続けないとリレーは動作して
しまいます。
b接点が動作したまま状態(開路)で
再びリレーを動作させたいと
押ボタンを押しても動作できません。
これでは自動制御はできません。
5.使用例
ここまでの説明だと
自己保持回路の重要性が
なかなか理解できないかもしれません。
自己保持回路の使用例は
シーケンス制御回路です。
以下がシーケンス制御の定義です。
「あらかじめ定められた順序または手続きに従って
制御の各段階を 逐次進めていく制御」 (JIS Z 8116)
制御の各段階を逐次進めるを
機械の各工程に例えて考えてみましょう
A工程→B工程→C工程→D工程→A工程
という自動制御で動作する工程が
あったとします
下図を用いて説明します。
最初はスイッチを押すことで
A工程を動作させるリレー1がONして
A工程がスタートします。
自己保持回路になっていますので
スイッチを離してもリレー1は
動作状態を保持できます。
色分けした
「〇工程へ移行する×接点」
を見てください。
これが各工程が終了を
検知するセンサーだと考えてください。
そのセンサーが検知することで
A工程が終了です。
このセンサーはb接点がA工程の
リレー1の自己保持を解除し、
a接点はB工程をスタートさせる
役目になります。
これで次のB工程がスタートです。
この時、A工程の自己保持を解除しないと
終了したA工程がずっと動作することに
なります。
後述しますが、
例えば最初のスイッチを押したままで
保持したとするとD工程が終わって
次周のA工程がスタートできません。
B工程→C工程→D工程は
A工程→B工程と変わらないので
説明を割愛します。
最後のD工程が終わるとセンサーが
検知して、2周目のA工程へ戻ります。
最初押したスイッチは元に戻しているので
D工程の終了のセンサーの接点が
次の周をスタートさせるスイッチに
できます。
この例から、自己保持回路で
シーケンス制御の
制御の各段階を逐次進めていることが
分かると思います。
自己保持回路にすることで
自動的に制御できます。
自己保持しないと
その工程が動きませんし
保持したままだと常に動き
2周目、3周目ができないので
解除する必要があるのです。
この制御の身近なものを
信号機です。
赤→青→黄→赤→・・・
と変わっていきます
信号機の場合はセンサーではなく
タイマー(時間)で次へ移行させています
実際に
信号機のシーケンス回路は
自己保持回路にしています。
ここでの例は単純なものですが
複雑に動作する機械や装置は
この自己保持回路がもっと
沢山・複雑に絡んでいるのです。
6.配線方法
実機での配線については
次のページで別途説明していますので
ご参考ください。
●電磁リレーの配線
●電磁接触器の配線
7.最後に
電気制御に関わる方にとって
自己保持回路は頻出する重要な回路です。
このページでは基本形となる
シーケンス図を書いていますが
何も見なくても書ける必要はあるでしょう。
別ページで配線について書いていますが
何も見なくても配線できるぐらいで
ないといけません。
当方では、実習キット付の
シーケンス制御入門教材も扱っております。
このサイトで解説した自己保持回路を
シーケンス図見て、もしくはラダー図を
作成して、実機を動作させて
習得できます。
初心者でも自宅で独学できるよう
(学習サポートもあります)
つくっています。
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