なぜかモーターが回らないことって
ありますよね。
モーターが動かないことには原因が
あります。
このページでは、モーターが回らない時、
疑うべき原因について
7項目書きました。
そして、このページでは
三相誘導電動機(三相モーター)が
回らない原因について記載します。
三相誘導電動機を想定してのことですが
その他のモーターでも考えられる
ことです。
原因の確認内容は簡単ですので
明日から対処できます。
三相誘導電動機(三相モーター)が何か
分からない場合は、以下のサイトで
解説していますので、ご参考ください。
⇒三相誘導電動機(三相モーター)とは?やさしく概要から理解しよう
モーターの基本的なことからに
ついては 以下のサイトを
参考してください。
1.電源(電圧)が印可されてない
当たり前ですが
電源がモーターに印可されていないと
動作するわけがありません。
当たり前と思われるかもしれませんが
実際、これが原因で動作していない
にも関わらず、動作しないと何週間も
大騒ぎした方もいるから書きました。
その方は電気屋ではなく機械屋なので
仕方ない部分もあると思いますが、
電気屋でも普段モーターを扱わない方
だと、知見がないので難しく考えて
まず確認すべきところを
見落とす方もいるかもしれません。
(恥ずかしながら、私は他でのことですが、
故障現場で見たことない異常現象に直面
するとあせって当たり前の部分の
確認を怠りそうになることはあります。。。)
誰でもできる確認としては
そのモーター(機械)のブレーカーが
入っているかを見ることです。
ブレーカーが入っていても
そこから、モーターまでの経路で
何かある可能性があるいので、
理想的には、三相誘導電動機と
電源線を接続している端子を
テスタ-で、三相電源がきているか
確認することです。
電源線が途中で断線していることも
ありますし、その他、
三相誘導電動機の端子に接続するまでの
経路で何かがおかしい、
通常状態でないこともあるからです。
三相誘導電動機と電源線の接続は
大抵、下写真のような三相誘導電動機に
ある端子箱の中でしています。
端子箱の中は右写真のような
端子台があったり、端子台はなく
モーターから電線(口出し線)が
でているだけのものもあります。
2.サーマルリレーのトリップ
三相誘導電動機では
よくサーマルリレーという
モーターのコイルを焼損から保護
する保護機器を
電気回路の中にいれます(接続します)。
下写真がサーマルリレーの一例です。
サーマルリレーが何なのか
分からない場合は以下の
サイトで解説していますので
まずご確認ください。
上記のサーマルリレーのサイトで
記載していますとおり
サーマルリレーが作動(トリップ)
すると、モーターはまったく動かなくなります。
サーマルリレーのトリップが原因で
モーターが回転しないことは
よくあることです。
トリップは解除できますが
トリップは原因があってしているので
再度、トリップする場合は
その原因を調査する必要があります。
3.逆相防止リレー
モーターは正回転、逆回転しますが
機械によっては、誤って逆回転
させると故障原因になるものも
あります。
その保護のために、三相誘導電動機の場合は
電気回路の中に逆相防止リレーいれます。
下の写真が逆相防止リレーです。
三相誘導電動機は、下のイラストの
ように、3本の三相電源線の
2つを入れ替えて接続することで
回転方向を変えることができます。
三相交流の相順を変えるというのですが
この入れ替えで正相と逆相が
できます。
正相と逆相で回転方向が
変わるわけです。
このページでは割愛しますが
以下のサイトで、三相誘導電動機の
回転原理等について解説していますので
ご参考ください。
⇒モーター基本講座:三相誘導電動機(三相モーター)の回転原理
逆相防止リレーは、逆相の
場合、作動してモーターを
動作させなくします。
作動すれば、モーターは
うんともすんとも言いません。
電源をとっているブレーカーを変えるとか
電源を変えない限り、逆相にはなりません。
ですので、通常は逆相防止リレーが原因で
モーターが回らないということはありません。
機械・設備を移動させて、電源をとる
ブレーカーやコンセントを変更した時に
その電源の三相交流が逆相であった場合
にこのパターンは起こりえます。
電源を変えて、まったくモーターが
回らなくなった場合、制御盤内に
逆相防止リレーがあると
逆相で動作しないことを疑ってみます。
(制御盤については以下のサイトを参考ください。
⇒制御盤とは何かが分かる-速習したい初心者のための制御盤入門)
4.単相運転
三相交流のうち、1相が欠相した状態で
始動すると三相誘導電動機は
回りません。
この1相が欠相した状態での運転を
単相運転といいます。
ここまで説明しました
1項~3項が原因の場合は
三相誘導電動機は
うんともすんともいいませんが
単相運転では
「う~ん」とか、回転は
しませんが何か唸るような音が
します。
この状態で電源と投入し続けれると
モーターのコイルは損傷します。
ですので、すぐに電源を切った方が
いいです。
確認としては、テスターで電圧測定して
単相状態か確認することが確実ですが
経験を積めば、音を聴いただけで
単相運転かどうか判断できるように
なります。
テスターについては
以下のサイトで説明していますので
ご参考ください。
5.ブレーキが開放しない
ブレーキ付きのモーターの場合、
故障でブレーキが開放しない状態では
モーターは回りません。
4項の単相運転とは音の種類は違いますが
唸るような音がします。
ブレーキの制動力が弱いモーターの場合は
ブレーキ力に打ち勝って回転しますが
通常とは違い回転が遅かったり、
音が違ったりします。
いずにせよ、この状態はモーターに
とって過負荷状態です。
このまま電源を入れ回転させると
モーターのコイルは焼損します。
ブレーキ部分を目視して確認しています。
あとは、経験を積むと聞き分けれますが
単相運転と似た音や状態です。
単相運転かどうかを確認して
問題ない場合は、ブレーキが開放
していない可能性があるとして
調査します。
6.センサーが作動している
これはモーター自体の問題ではなく
電気制御回路の問題です。
機械、設備では、あるセンサーが
作動するとモーターが動かないよう
設計している電気回路は多く見ます。
センサーの故障なのか、
間違ってモーターの回転を止める
センサーを作動させた状態で
動作させようとしたためで
実際に、電気修理の仕事をしていると
こういったことは
何度もあるので紹介しました。
注意としては、機械によっては
そのセンサーを元に戻す(作動しなくする)と
突然、モーターが動き出すことも
あります。
大怪我につながることもあります。
電源を切るなりして
作業することをお勧めします。
7.番外編
ベアリング(軸受)が劣化して
ベアリングの内輪の回転が堅くなり、
それに伴い、モーターが
回転しなくなることもあります。
ベアリング、劣化等については
以下のサイトを参考してください。
⇒モーター基本講座:モーター(三相誘導電動機)の故障対処について
これは、容量が小さいモーターで
起こります。
容量が小さいモーターは
トルク(回転する力)が弱いので
堅くなったベアリングの内輪を
動かせないのです。
回らないブレーキ付きモーターで
容量が小さい場合は、
ブレーキが開放しない以外で
ベアリングの硬化も頭にいれて
確認してください。
(私自身の失敗経験からのことです。
ベアリングの劣化を忘れていて
故障調査に手間取ったことがありますので・・・)
8.まとめ
このページでは、モーターが
回らなくなってときに、まずは
確認したい項目を紹介しました。
実際に私の仕事上の経験や失敗も
混じっているので、全て参考に
なるかは分かりませんが
一部でも参考となれば幸いです。
別ページでは
モーターから異常音がしたときに
疑う部分を紹介していますので
以下をご参考ください。
当方では、このページで紹介した
モーターが回らない場合も含め、
電気系機械保全で使える
モーターの故障対応教材も扱っております。
興味があれば、以下のボタンをクリックして
内容を確認してください。